↑韓国全土から集まったＤＬが検査・整備を受ける。

韓国第2の都市、釜山にある釜山機関車整備場は、釜山の繁華街、西面近くにあります。地下鉄２号線、西面の隣、釜岩駅から徒歩５分程の所に、分厚い壁で囲まれ、鎮座しています。

韓国には、大きな整備場が３ヶ所あります。竜山（ソウル：Seochang→気動車、電車）、大田（Daechang→客貨車）、釜山（Puchang→ディーゼル機関車、客貨車）です。今回はその中でもディーゼル機関車の重整備をメインとする釜山機関車整備場にイソウロウします。

整備場広報の方に案内され、まず、最新鋭のエンジンショップからイソウロウ開始！ISO９００１企画を満たした内部は、整然としており、とてもあのワイルドなド迫力ＤＬの整備工場とは思えず、キレイそのものです。

日本人観光客が韓国を訪れるとき、必ずと言っていいほど、市場に立ち寄ります。そんな韓国の市場を思わせるような、品数豊富な部品達が各セクション毎にきれいに整理されていました。ちなみに、左上の写真の鉄の塊はエンジンの殻です。黒いのが使い古したもの、包装されている物が、更新済みの物です。

エンジンショップからそのまま検修庫に。機関車を「これでもか」と言うほど分解して、検査を受けます。

職員の方は各セクション毎に持ち場があり、それぞれがスペシャリストです。たまに下請けの業者の方も入ります。一応、作業着が支給されているのですが、暑い現場では自前のTシャツを着ている方も多く、機関車のスタイルと相俟ってアメリカンな雰囲気があります。

屋根が高いです…

機関車の心臓部も丹念に検査されます。右上は発電機、右下は燃料タンクです。

全塗装前の機関車はサビ止めの下地色により、ワイン色になっています。エンジン類の機器も無く中身はカラッポ。

機関車がメインの釜山整備場ですが、客車や貨車も検修、更新を受けます。私有貨車は広告まで施し、所有会社に引渡します。

中央の写真にある機関車は構内入換機３２２４です。その他構内入替に数両の３２００番代機関車がいます。これらの機関車は釜山のカヤ機関車事務所所属です。

釜山機関車整備場は、機関車に新しい生命を吹き込む反面、役目を終えた機関車達が部品取りや、解体待ちで留置されています。鉄道ファンとしてはとても物悲しい風景です…

廃車待機中、解体待ちの機関車達は、韓国鉄道発展の歴史を背負ってきた歴史の証人でもあります。右下の５０２０号は韓国国鉄除籍後、韓国TGV,京釜高速鉄道（KTX）の建設現場で資材輸送に従事、その後、再び廃車になり、整備場片隅で静かに解体の日を待っています。

整備場職員さんの元気の源、従業員食堂にて昼食を頂きます。メニューは２種類あり、流れ作業のように、ご飯やおかずを自分で盛り付けます。この日食べたメニューはコムタン（牛スープ）定食。コチュジャン（唐辛子味噌）を入れ過ぎなければ、日本人も充分イケます。と言うか、めちゃくちゃ美味しいです。

食堂のある研和館は、食堂、売店、会議室、クリーニング、サウナ、スポーツジムまで完備しています。

韓国唯一最大のＤＬ整備場。巨大かつ、整然とした最新鋭の内部。しかし、一歩外に出れば、韓国国鉄の歴史を背負ってきた機関車が静かに眠っています。ここには韓国のＤＬの全てがあり、ＤＬにとっては母なる海のような存在だと感じました。安らかに眠るＤＬたちは、構内外れに見える京釜線の今の姿をどんな気持ちで見ているのだろうか…そんな事を考えながら、小雨の降る整備場を後にした。

イソウロウ日時
２００２年８月