夕暮れの水色の車庫。これから長項まで４時間の旅です。

19：30　水色にて出発待機中

出庫までの時間にちょっと聞いて見た

客車側から無線連絡が入り制動試験を行います。

機関士の視界。こんな感じの視界で運転しています。 

各所の最終点検を行って、出庫の時を待ちます。

今回添乗の#359列車のダイヤ。

ここ水色は19：50に出発線を発車。列車番号H359（出庫列車）としてソウルに20：08着。30分程待機の後20：40、ソウル発長項行きの無窮花号第359列車として出発します。長項線ではこの列車が最終列車となります。
 

19：42　出庫!

無線連絡が入り、車庫を出る。客車を連ねたボンゴはこれから広い構内を横断し、発着線に向かう。出庫時は汽笛ではなく、外付けのベルを連打して周囲に出庫を知らせます。

水色の構内を徐行。無線連絡やATSベルがひっきりなしに運転室に響き渡ります。


構内回送中に「H359列車13番線発車」と閉塞が開いた指示が来ました。

19：46　水色13番線　発車

列車は定刻より４分早く水色を出発。水色出発線を走ります。

仕事を終えたソウルからの入庫列車とすれ違います。夕暮れの夜景もまた美しい。

京義線をソウルに向けて走ります。

（左上）　加佐駅のホーム中ほどから京義線に合流です。
（中央下）　新村駅ではセマウル号の回送とすれ違う。

20：03　ソウル駅２番線到着

列車は定刻より５分早くソウル駅に到着。長項線専用ホーム、２番線にすべり込みます。

 

ソウル駅を少し散策します。駅構内の表示至る所が新CIになっています。

出発15分前の20：25分、いよいよ無窮花号359列車の改札が始まり、ホームは一気に活気付きます。

20：40　無窮花号、ソウル発車！

列車は定刻の20：40分、車長（車掌長）さんから戸閉め完了と出発の無線指示が来た。


「発車〜！」汽笛一声ソウル駅を出発します



さようなら！ソウルの街よ！

ソウル駅を出発した列車は電鉄線と並行します。


速度を上げながら南営駅（右中段）、龍山駅（左下段）を軽快に通過します。


（左中段）　主発電機の電流計。電気式DLならではの装備です。

列車は最初の停車駅、永登浦駅を目指して走ります。

20：47　永登浦到着

列車は定刻に最初の停車駅永登浦駅に到着。ソウル駅に比べて乗車客数が圧倒的に多い。 夜の無窮花号は日本で言うホームライナー的な役割もあるため、近郊輸送の乗客も非常に多い。

20：52　永登浦発車!!

客扱いに時間を要し、4分遅れの20：52分、ようやく発車となりました。

ここから先がギユンさんの腕の見せ所。遅れを持ちながらも手足のようにボンゴを操り、安全に旅客を輸送します。

永登浦を発車。天安まで京釜線を激走します。速度計も常に100〜120km/hを指したまま。3300馬力のボンゴの本領発揮です。

せわしい無線通信が続く中、京釜本線、電車線とひっきりなしに列車とすれ違います。そのたびにヘッドライトをせわしく切り替えたりとこの区間は機関士にとって非常に多忙な区間です。

九老からは京仁線と分岐、複々線の京釜本線を快走します。 

前方に地下トンネルへの入口が見えた！これが京釜線とKTX（京釜高速電鉄）の分岐点。KTXはここから地下にもぐり、右に折れて南ソウル駅及び高速新線へと至ります。

列車はKTX分岐点を通過。ダイナミックな分岐線もオドロキですが、C-C軸配置のDLが100Km/hもの通過速度で揺れも無く駆けて行くのがとても印象的です。

列車は３桁速度を維持してひたすら南下。

衿井駅を21：03頃に通過。果川線の電車とも出逢う（左上）

列車は軍浦、富谷と駆け抜ける。架線の下でありながら、この区間はディーゼル列車が無敵の走りを見せる。


相変わらず無線通信は止む事が無く、ギユンさんも忙しい時間が続く。

21：12　水原到着

列車は遅れを2分取り戻し、定刻の2分遅れで水原に到着。

水原はソウルのベッドタウンであり、乗客の入れ替わりが激しく、客扱いにも時間が掛かる。 

定刻の3分遅れ、21：14、客扱いが完了し水原を出発。背後には21：15水原到着の大田行き無窮花号が迫っており、プレッシャーが掛かる。ホーム上にも大田行きを待つ乗客が集まってきた。

ソウル〜天安は少しの遅れが、多くの後続列車に迷惑を掛けると言う、非常に責任の重い区間。しかしギユン氏はあくまで冷静にボンゴを操る。

細柳（右上）、餅店（左下）と電鉄延長開業区間を通過。




通勤電車と出逢うのもここまで。周囲の風景も少し寂しくなります。

月明かりの下、ボンゴはひたすら南下。

21:34 平澤駅到着

列車は2分遅れで平澤駅に滑り込んだ。一分停車の後、天安に向けて出発。

列車は電鉄工事区間をひた走る。

外も明かりが無く寂しい景色が続く中、突如現れる電鉄工事中の駅をいくつか通過する。

この辺りからは夜間工事の影響で幾つかの徐行区間もあり、ギユンさんの忙しさは更に増える。せっかく縮めた遅れも台無し。さらに遅れは増えてゆく…この区間の機関士さんの苦労が伝わって来ます。

無線交信が鳴り止まない中、遠くに街の灯が見えてきた。天安の街だ！



ボンゴよ！あれが天安の灯だ！

20：50　天安到着

列車は定刻の3分遅れで天安に到着。天安は4分停車なので、遅れはこの時点で大幅回復です。

今回の添乗はここまで。客車に乗り移り、長項での再会を約束します。

天安からは長項線に入り終点長項を目指します。


（左上）　長項線の天安〜温陽温泉区間は複線電化の工事中です。


（中央）　長項線では新聞紙輸送にステンレスの新型貨車が活躍中です。


多くの乗客は洪城、大川と途中駅で下車。結局板橋や長項まで乗る乗客はなんと全体の１割程度です。

0：20　長項到着

対向列車の遅れなどで、列車は定刻の6分遅れで終点長項に到着。ソウルでは満席の列車も終着駅では20人程の降車客と言う少々寂しい感じです…

水色からおよそ5時間の勤務を終えてギユンさんが降りて来た。ギユンさん、オヤブンさん、そしてボンゴもお疲れ様でした！機関士さんは点呼と休息の為に事務所に帰ります。

休む事無く安全に運んでくれた感謝の気持ちで一杯です。