↑京元線はソウル市内の龍山→元山（北朝鮮：朝鮮民主主義人民共和国）を結んでいた路線です。現在は分断され新炭里止まりとなっているこの路線、起点に近いソウル市内では複線電化の立派な通勤路線です。

京元電鉄線とは京元線の中の通勤電車化された区間を指します。現在は起点の龍山→議政府北部区間です。

ソウル市の北東に位置する城北駅には電車区があり、運転士交代の場所でもあります。今回はここから議政府駅まで運転室にてイソウロウします。

運転士さんと電車を待っていると、程なく電車が到着。JRの103系の遠縁とも言える中期抵抗車タイプの車輛がホームにすべり込む。


この電車は港町仁川から地下鉄1号線を直通し、52.1Kmを1時間半かけてここまでやって来ました。
 

運転室の小物類。

（中央）韓国の電車は大多数が運転士席が中央になっています。
（左下）無線機のマイクにはKNRの文字が！

運転士さんが席に着き、発車準備をします。



信号が進行現示になり、発車準備完了！
 

戸ジメランプが点灯、出発進行の点呼と共に、ノッチが入り列車はゆっくりと動き出す…

いよいよ議政府までの旅が始まります。
 

列車はあっという間に加速、議政府までは13Km、およそ20分の旅です。

城北を出発した列車は、最初の停車駅、月渓に到着。


列車到着と同時に反対方向からもVVVFタイプの電車がやって来た。

60〜80Km/hの速度でソウル北東部を快走します。
 

日本の私鉄路線にも通じる風景が続きます。

（左下）新型VVVF「トングリ」ともすれ違います。
 

列車は倉洞駅に到着。地下鉄4号線との乗換駅でもあり、多くの乗客が乗り降りします。

倉洞で1分ほど停車し、次の駅へと向かう。




この路線は全線CTC化されており、ひっきりなしに司令室からの無線が入って来ます。

列車は次々と駅に停車を繰り返します。


ちなみに京元電鉄線は全て各駅停車。

（右）　電鉄運転士さんの時刻表。日本の大都市区間のように一枚に複数の運用分のダイヤが掲載されています。

運転室からの風景�B

韓国的な高層マンションが続きます…

列車は地下鉄7号線との乗換駅、道峰山駅に到着。ATS/左側通行の京元電鉄線とATO/右側通行の地下鉄7号線の線路が数百メートル並走します。



参照ページ　地下鉄7号線にイソウロウ
 

運転室からの風景�C

(右上)7号線の道峰車両基地も遠くに見える。

運転室からの風景�D

（中央）　線路の先に見えるコンクリートの構造物。これは橋脚（跡）では無く、有事の際、脚を破壊、崩すことで敵の侵入を防ぐ物。線路ばかりでなく、韓国では国道や主要道路上にもこの様な施設があります。（いつもながらこの手の施設が撤去される日を待ち望んでいます…）

列車は望月寺駅に到着。電車の停車位置は通常右下写真のような標識（真ん中のハングルは「停止」の意味）ですが、ホーム上にも左下写真のような「10」（10両編成）の文字と点字ブロックでさりげなくマークがあります。実際の業務上、運転士さんはホーム上のこちらのマークを見ながら列車を止めていることが多いです。

戸ジメを確認、ブレーキを緩解後、ノッチ投入。

運転室からの風景�E

議政府まであとわずか。列車は軽快に走ります。

（右下）　戸ジメ確認ランプ。ハングルで「出入門」と書かれています。

京元電鉄線は交流電化のため、路線内に死区間（デッドセクション）があります。回龍〜議政府区間にも有り、運転室内には死区間を伝える警告アナウンスが流れます。

（下）　左の丸い標識はデッドセクションの終わりを意味します真ん中の赤いハングル文字は「動」。これは動車（＝電動車、電車の意味）はここから再び加速可能との意味です。

デッドセクションを無事に通過して、列車は議政府駅に到着。今回のイソウロウはここまで。

運転士さんにお礼を言って、議政府北部駅に向かう列車を見送る。京元電鉄線は数年後さらに北の東安までの延伸工事中であり、更なる発展が見逃せません。また京元線自体も再連結の話しが有り、新しい姿でのさらなる発展を願いつつ議政府駅を後にした…