Saemaul Express Perfect Guide 2004

2004年、韓国高速鉄道(KTX)の開業によるダイヤ改正で余剰となった無窮花號の客車を改造し、韓国初のジョイフルトレインが完成しました。この列車は｢観光専用列車｣と呼ばれ、運転上はセマウル号/全室特室の等級で扱われます。

韓国のレインボーこと｢観光専用列車｣の豪華な内部に迫ります。

取材協力:大韓民国鉄道庁
ソウル車両事務所　2004.11

セマウル号観光専用列車の編成

列車編成

観光専用列車は｢夢-Dream｣｢愛-Love｣｢浪漫-Romantic｣｢追憶(思い出)-Remembrance｣をコンセプトにした全室特室の編成で、展望室付き特室座席車1両、特室座席車2両、イベント客車、展望室,個室付き特室車1両の5両編成となっています。車両はゆったりした座席にイベント車や展望車を設け、バーやイベントスペースなど楽しい旅の演出が満載です。

車両の編成は下図の通りで、日本の14系客車のような発電機能を持つ車両が無い為、機関車の次位に電源車を連結します。

←進行方向

5号車

4号車

3号車

2号車

1号車

機関車

電源車

展望室

特室
座席

特室座席

BAR

イベント
スペース

特室座席

特室
座席

個室

展望室

現在は中央～太白線を走る｢正東津観光列車｣やソウル郊外線等を走り夜のソウルを一周する｢夜景観賞列車｣などの団体専用列車として運転されています。

５号車

最端部の5号車は流線型の展望室を用いたデザインになっています。車両のエンド部が簡単なソファーを備えた展望室、車両内部は座席となっています。出入り口には｢追憶(思い出)｣のロゴをあしらっています。

	展望室は簡単なソファーと木のテーブルのデザインとなっています。また、貫通扉が付いているのが特長です。
	日本では展望車が機関車次位に来る場合は機関車の顔が見えますが、韓国では電源車の妻面とにらめっこになります。展望車の眺望はご覧の通りです。

	座席は深い色のモケット張りになっています。日本のグリーン車に当たる特室車だけにシートピッチもリクライニング角度もゆったり。
	車内の各所は軽い木目張りの内装となっています。車端に取り付けられた各種案内パネルも暖色系のデザインです。

４号車

全席特室の中間客車。車両の出入り口には｢浪漫｣のロゴをあしらっています。

５号車に準ずるデザインの車内です。

車両中間には簡単なテーブルと仕切りがあります(右)

また、車両デッキにはちょっとした談話テーブルがあります(左)。

３号車

BARとイベントスペースを設けた客車です。車両側面には｢夢･愛･浪漫･追憶｣のロゴがあしらわれ、虹の掛かるデザインです。

３号車の入口はセマウル号と同じガラスの自動ドアとなっています。ドア左の緑の四角いボタンを押すと開きます。

	BARスペースの内部。一人掛けのカウンター席と、４人掛けのテーブルとがあります。テーブルは木で出来ており、緑の座席モケットと共に明るい雰囲気です。
	カウンター席は黒を貴重にしたシックな構成です。カウンターには電子レンジと冷蔵庫があり、簡単な調理も可能です。
	車両の１号車寄りの端はイベントスペースとなっています。カラオケなどの音響設備があり、車内パーティーやイベントの催しが可能です。ハングルで書かれた飾り幕は｢夢･愛･ロマン･思い出　観光専用列車｣と書かれています。
	３号車には車掌室があり、車内放送や扉操作を行います(左)。３号車の洗面所。清潔感のあるデザインです(右)。

２号車

４号車と同じ座席車両です。車両の入口には｢愛｣のロゴがあしらわれています。

座席は４号車･５号車と同じモケット張りのリクライニングシートです。

車両各所の装備も４号車と同じ軽い木目調となっています。

１号車

5号車と同様に流線型の展望室があります。この車両は特室座席と個室(６人用コンパートメント)３室、そして展望室となっています。

	１号車の座席車は革張りとなっており、ひときわ豪華な内装となっています。
	リクライニング角度もゆったりしており、長時間の移動でも疲れを残しません。

	座席室からさらに後方に行くと6人用のコンパートメントがあります。
	個室とは言えど解放式のコンパートメントで、3人掛けのソファーにそれぞれ座席番号が設定されています。
	木のテーブルと座席で出来た展望スペース。アウトドア調のインテリアで後方展望を満喫できます。